第3回は「ネット上での予約システムの功罪」についてです。初めての方はその1からお読み頂くことをオススメします。
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旅行業界にこそ販売士を〜IT時代の旅行業界における販売士の必要性〜その3
■ネット上での予約システムの功罪
では、急増しているインターネットでの販売により、旅行業界ではどんな変化があったのだろうか? 実はインターネット上の予約システムの普及は、先に述べた「在庫の持越しができない」という旅行商品の特性に、大きな変化をもたらしている。ここでは、インターネット上の予約システムの功罪について述べる。
まず、予約システムの「功績」について考えてみよう。ここでは、わかりやすいように、“楽天トラベル”、“じゃらん”などを筆頭に数多く存在する「宿泊予約サイト(※)」と宿の関係を中心に考えてみよう。
(※)宿泊予約サイトを本論文では「利用者が各種の希望条件を入力することにより、合致した宿(宿泊プラン)が検索でき、予約手続きまでが行えるサイト」と定義する。
長年宿泊施設は、独自で集客をするには手間も金銭的にも限界があり、集客については旅行会社にゆだねることが多かった。しかし販売手数料が高いうえ(通常販売額の15%)、旅行会社に預けた宿が間際になって空室のまま返室されるなどの課題もあった。そんな中、登場した「宿泊予約サイト」は、単体では集客する体力(人手や予算など)や、システムの知識がない宿でも、宿の宣伝・告知を全国的にすることができ、また旅行会社より格段に安い手数料で宿泊の申し込み(一部のサイトでは入金管理)まで代行をしてもらえるという点で画期的なシステムであった。
更に、宿泊日が近くなっても埋らない空室を、ネット上なら即座に、また価格を下げて提供することが可能となり、事前に在庫をさばくことで稼働率が向上した宿も多い。また、宿側にとって「最小限の経費で稼働率が上がる」というメリットがあるばかりか、消費者にとっても「料金を比較し、安く旅に行くことが可能なうれしいシステム」であり、宿泊予約サイトは急成長をした。
しかしいいことばかりではない。次に予約システムの「罪」について考えてみる。まず、直前とはいっても正規の価格よりも安い料金で宿泊を提供することにより、宿や企業のブランドの低下につながる危険があることも認識をしなくてはならない。特に価格比較が安易にできる宿泊予約サイトでは、価格競争が激しく価格崩壊につながる可能性も含んでいる。
また、宿泊予約サイトを経由して、全国規模で無作為な消費者へ告知されることにより、宿泊者の質は多様化し、その要望も千差万別となってきている。しかも、要望に応えられず宿泊者が満足できなければ、インターネット上で、口コミという形でマイナス情報も公開されてしまう。
以上のことから考えると、インターネット上での宿泊の販売は、慎重にそして戦略的に行う必要があり、また宿のサービスや運営も、あわせて見直しを行うことが重要になる。しかし、企業経営の大規模な宿はともかく、家族経営に限りなく近い宿では難しく、安易にインターネットでの販売に参入し、逆にマイナス面だけを背負い込み撤退する宿もある。加えて、ITの知識や技術を持ち合わせていない宿は、取り残され、業界の貧富の差は広がりつつあるといってもいいだろう。
>>次回(8/5)へ続く。論文のメニューについてはこちらをご覧ください。
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